復興庁とネットニュースの「しらべぇ」がタッグの東北ライター塾がお金取っていいレベルだった【東北ライター塾①】

東北ライター塾のチラシ

東日本大震災があってから、今年でもう4年。震災後、1・2年ほどは東北における「復興」という2文字はまだまだ多くのメディアで書かれていたし、各所でそれが叫ばれていました。

ただ、そんな東北の復興への注目度は下がりつつあるのが現状です。

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例えば、「東北 復興」というキーワードが検索された回数も年々落ち込んできています。

「東北の注目度が下がっている」そんな問題意識から復興庁が官民共同PR事業の一環としてニュースサイト「しらべぇ」を運営する株式会社NEWSYと一緒に開講されたのが「東北ライター塾」です。

友人が「しらべぇ」のライターでもあるということで、ぼくも参加してきました。このライター塾。参加してみたら、もはやお金取っていいレベルだったので、これから3回くらいに分けてレポートしたいと思います。

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「東北の注目度が下がっている」東北ライター塾の開催

そもそもこのライター塾が開催された目的というのが、『東北自らが発信力を養い、東北在住者ならではの視点を取り入れた情報を発信することで、東北を取り巻く現在の環境を風化させないこと』

そのため、プログラムの全体として「東北がどうやって情報を発信するべきか?」にフォーカスしており、実際の東北の発信例を知ることができました。ただ、東北の話が中心的話題とはいうものの「東北に限らず地方がどうやって全国的に情報を発信するか?」という意味でも参考になることだらけな内容だったので、地方の情報発信に問題意識を持っている全員に読んでもらいたいです。

プログラム構成はというと、以下の感じ。

  • 第1部 パネルセッション「発信力をもつと何が変わるの?」
  • 第2部 基調講演「東北を世界に伝える」
  • 第3部 セミナー「ネットニュースの書き方」

現在進行形で、東北から情報を発信する二人

東北ライター塾の最初のプログラムは「パネルセッション」

このセッションでは、しらべぇ編集長のタカハシマコトさんがファシリテーターとなって、すでに東北から積極的に情報発信をしている「萩野酒造」8代目蔵元佐藤曜平さんと、「フィッシャーマンジャパン」事務局長谷川琢也さんのお話を聞きました。

IMG_1446▲左からしらべぇ編集長のタカハシマコトさん、佐藤曜平さん、長谷川琢也さん

恥ずかしながら、東北にいてこの二人のこと全然知らなかったんですが、かなり面白い取り組みをしている方々です。

「萩野酒造」8代目蔵元佐藤曜平さんは蔵元ならではのコラムを書いていたり、メガネ専用のお酒を作ったり(ぼくもメガネなので、このお酒めっちゃ飲みたい…)、イベントなども精力的に開催してる方です。

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(画像:「水新酒店」より)

また、長谷川琢也さんはというと、もともとヤフー株式会社復興支援室で活躍され、現在は「フィッシャーマンジャパン」事務局で宮城の三陸から未来の世代が憧れる水産業の形を目指し、日々活動しています。元々、東北にいたわけではないにもかかわらず現在でも「復興」に正面から取り組んでいる素晴らしい方です。

ちなみに「フィッシャーマンジャパン」のサイトはこちら。背景が動画でめちゃめちゃカッコイイっ!

Fisherman japan フィッシャーマンジャパン 公式サイト

発信で気をつけるべきは「敵を作らないこと」

さて、お二方とも少し異なるカタチですが、東北の情報発信をすでに積極的に行っており、その経験ならではの面白い話がどんどん出てきました。

その中で、「なるほどなー」と思ったのが、蔵元佐藤曜平さんが情報発信で気をつけていることとしてあげた「敵を作らないこと」。

意識しているのは「敵を作らないようにすること」ですね。SNSとかでも、意見が分かれるような記事は、あまりシェアをしないようにしているし、情報を発信するときも注意しています。たとえば、「宮城の酒”は”おいしい」と言ってはダメで、それだと「他の地域のお酒がおいしくないんじゃないか」となってしまいます。なので、「宮城の酒”も”おいしい」と発信しています。

ネットメディアって、ともすると「バズ」を狙いすぎて、誰かの批判をしてPVだけ伸ばすような記事が散見されるんですが、やはりそれだとPV稼いで終わりにしかならない。そのためしっかりと認知して、何か行動を起こしてもらうことを目標にするならば、「敵を作らない」ことを意識する必要があるのでしょう。

とは言っても、「敵を作らない」ようにし過ぎないことも大事。この部分については長谷川さんが付け加えてくれています。

結局はバランスかなあと思っています。情報発信はやり過ぎると周りから批判などが生まれてしまいます。ですが、時には攻めなければいけないところがある。情報も、魚と同じ鮮度が大事なので、指をさされながらも出していくことも必要です

なるほど。要はバランス。「敵を作らない」っていう守りの姿勢と、時には大胆に「攻める情報発信」をする攻めの姿勢は、悩ましいところですが、うまく釣り合いをとれる人が優れた情報発信者になれるのかもしれません。

地元の人だからこそ、地元を知らないといけない

「東北の復興のための、情報を発信しよう」

おそらく、震災当初はそんな思いで多くの人が情報を発信していたのではないかと思います。ただ、今まで情報発信をしていなかった人たちがいきなりパソコンに向かってそれができるかというと、難しい。それはおそらく「あっ、自分って東北のことちゃんと知らなかった」っていうことが1つ原因としてあると思います。

その点について、蔵元佐藤曜平さんはこんな言葉を話していました。

自分が地元の情報を発信しようとしても、意外と知らないことばっかりあります。最近、まちの資料館に行ってみたんですが、また新たな発見がたくさんありました。まちの歴史のこととか、知らないことばかりで。おそらく地元の人が情報発信しようとするなら、逆に地元のことを知らないといけないと思います。

これって意外に盲点だったりしますよね。地元に住んでいる人って、住んでいるからって地元のことを意外に知らなかったりします。

ぼく自身も仙台には10年以上は住んでいますが、きちんと仙台の歴史だったり、観光資源を自信を持って語れるかっていうと「うーん」とクビをひねらざるをえない。外の人に何か情報発信するには「まず内側をきちんと知る」ことが大切なのだと思います。

情報発信は都会よりも地方のほうが有利

情報発信を行うにあたって都会と地方を比べた時に、ときどき「地方の優位性」が語られます。

これは、地方のほうがまだまだ発掘されてない面白い情報源がたくさんあるし、競合があまりいないので情報発信者には有利、という意味で、東京から高知に移り住んだプロブロガーのイケダハヤトさんもこう主張しています。

地方は「まだデジタル化されてないコンテンツ」の宝庫です。オリジナルなコンテンツを生産できるので、ブロガーとしての競争優位性は高まるでしょう。地域活性化にもつながりますし、いいこと尽くめです。(「ブロガーよ、地方に出よ。田舎は「まだデジタル化されてないコンテンツ」の宝庫だ」より)

フィッシャーマンジャパン事務局の長谷川さんも同じようなことを実感しているようで、地方のネットメディアの可能性について言及していました。

(東北のネットメディアの可能性は)めちゃくちゃある。都会よりも地方のほうが発信されていない情報がたくさんあって、地方のほうが有利だと思います。地方創生のカギにもなります。 今、農業や漁業の一次産業は生産だけでなく、製造や販売の二次産業、レストラン経営などのサービスとしての三次産業をすべて一緒に行う六次産業化が進んでいるんですが、情報発信も同じだと思っていて、情報を自ら生んで、編集して、それで販売まで全部自分たちでできる。だから、地方の人こそ情報発信をどんどんやっていけばいいと思います。

確かに、情報を見つけて、それを編集して、拡散させるところまでネットに繋がっていれば、どこでもできる時代になった。それに地方コンテンツはまだまだ発掘されていないものがたくさんあるし、競合だって少ない。情報発信を行う点においては地方のほうがアドバンテージがありそうです。

第1部のパネルセッションで、実際の情報発信のイロハ話を聞いて感じるのは、地方からの情報発信をするときに特に重要なのが「地方のコンテンツに自分自身、熱狂しているか?」ってとこなんじゃないかと感じました。

萩野酒造の佐藤曜平さんは「東北のお酒は日本一であり、世界一だ!」と、東北のお酒に熱狂していたし、「フィッシャーマンジャパン」事務局長谷川琢也さんも「漁業の男はカッコイイ!」と熱くなったからこそ今の活動を行っている。

そんな「熱狂」を発信することが、これからの地方からの情報発信のカギになるのかもしれません。

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