ソーシャル時代のカギは強い「入口」と広がる「出口」!浜のミサンガ『環』の仕掛け人が考える鉄板セオリー【東北ライター塾②】

001(6)

東北の魅力や復興の成果を発信したい受講者が、ネットニュースなどを活用した情報発信のノウハウを学ぶ「東北ライター塾」。第2部には博報堂のクリエイティブ・ディレクターの鷹觜愛郎(たかのはしあいろう)さんの基調講演がありました。

(前回のレポートはこちら→復興庁とネットニュースの「しらべぇ」がタッグの東北ライター塾がお金取っていいレベルだった【東北ライター塾①】

鷹觜さんは、東日本大震災支援プロジェクトで「浜のミサンガ『環(たまき)』」を仕掛け、2014年には田んぼアートをデジタルと融合させた「Rice Code」でアドフェストグランプリなどの広告賞を受賞している広告クリエイティブや発信においてのスペシャリスト。

そんな鷹觜さんの「東北を世界に伝える」というテーマのもと行った講演レポートです。

Sponsored link

国際広告賞で採用されているアイデアの4つの評価基準で、東北の情報発信を考える

まずはじめに、鷹觜さんが語ったのは世界の広告賞の4つの審査基準です。

  1. ビック・ブリーフ(課題は何か?)
  2. コア・コンセプト(すごい解決策か?)
  3. エグゼキューション(実施・アイデアはあるか?/絵空事ではないか?)
  4. リザルト (最高の成果を生み出す/どんな未来へ?)

なぜ、いきなりこの審査基準を出してきたかと言うと、「東北を世界に発信する」ためには、小さな規模ではなく世界に対して影響力のある施策をしなければいけません。そこで、より世界基準の考え方をするために、この4つのことを頭でつなぐことが必要になってきます。

「世界基準」というと、少し足がすくんでしまいそうになりますが、世界を相手にするためには「東北の課題と、それを解決しようとしている施策を世界基準で書き起こす」ことができるかがポイントになると鷹觜さんは言います。

001(1)

ソーシャルで広がるコンテンツを生み出そう!

地方からの情報発信で一般に懸念とされるのが「お金」です。大企業や大きな組織は、しっかりとした財政基盤があるため、CMなどの広告を出すことができます。対して、地方の中小企業やNPOなどの団体はそんなことはできるはずもありません。

しかし、鷹觜さんは大きな組織に対して「地域発で、お金がなくても情報力で勝てる」と言います。その理由は、ここ数年で大きな情報革命が起こっており、マスメディアから、ソーシャルメディアへ時代が移りつつあるからです。

facebookやtwitter上では、大企業が莫大なお金をつぎ込んだ情報と、仲の良い友人の情報があったとき、多くの人が「仲の良い友人の情報」に大きな影響力を受けます。これは情報の重みがマスからソーシャルへ移っている証拠であり、つまり、ソーシャル上でシェアされるコンテンツを作ることができる人、シェアされる情報を発信できる人が強くなっている時代というわけです。

地域からの情報発信でも、ソーシャルを味方につける情報力さえあれば、大きなインパクトを生み出せるのです。

「浜のミサンガ 『環』」を成功させた3つの仕掛け

ソーシャルメディアが広まり、「シェア」が力を持ったこの時代だからこそ成功できたプロジェクトとして良い例となるのが、鷹觜さんの手がけた「浜のミサンガ『環』」プロジェクト

東日本大震災が起こった当初、浜の男性たちにとって、漁業施設の復旧、瓦礫撤去や工事の手伝いなど多くの仕事がありましたが、力仕事ができない女性たちにはできる仕事がないという問題がありました。その解決をはかろうと、浜の女性たちの仕事として、彼女たちが浜の漁具を使ったブレスレットを作りはじめることになります。それが、浜のミサンガ「環(たまき)」づくりです。

動画も見ていただくと雰囲気が伝わってきます。

このプロジェクトは現在は終了していますが、結果としては「浜のミサンガ「環」」を合計で169,237セット販売し、約1億2千万円の収入になり大成功を収めています。

では、このプロジェクトの成功はなぜ生まれたのでしょうか?

そこで鷹觜(たかのはし)さんが口にしたキーワードが「ひと目、一言化」「一本化」「すべての情報を開示する透明性」です。

①「ひと目、一言化」

まず、最初のポイントが「ひと目、一言化」。浜のミサンガを広めるためには、ソーシャル上でいかにシェアしてもらうかが重要です。ただ、同じシェアでも情報発信者の意図と違ったカタチでシェアされ、情報がねじれてしまうとそれが逆風になる危険性もあります。

そこで、シェアからシェアでつながる「伝言ゲームで、情報を変化させない」ようにしなければいけません。この仕掛けとして、鷹觜さんは浜のミサンガを「ひと目、一言化」したのです。

具体的にどういうことかというと、商品画像に対してすべて「浜のミサンガの画像」に「浜のミサンガ『環』」と一言フレーズという見せ方を徹底させたのです。これを徹底することで、誰しもがシェアするときに、シェアの仕方にブレがなくなり、情報がねじれないように拡散していったのです。

「どう語るかよりも、どう語ってもらうか」それが大事なのです。

(http://www.sanriku-shigoto-project.com/より)

②「一本化」

001(2)

シェアを狙うコンテンツを作る場合は、それが拡散されたぶんだけ影響力が同じだけ足し算になっていないといけません。そこで鷹觜さんが考えついたのが商品やポスターをなるべく「一本化」したことです。

商品ラインナップについてはほとんど種類を作り出さず、紐の色だけ変えた3種類のみ。また、ポスターも全て「仕事で笑顔を取り戻した女性たち」のみを「一本化」して使いました。このような取り組みのおかげで、メッセージの「純度」を保たせることに成功したのです。

③「すべてを開示する情報の透明性」

IMG_1449

最後に、すべての情報を開示した点も大きな仕掛けのひとつです。ホームページで、1円単位まで収支を公開することで、社会的にインパクトのある活動であることを説得力を持ったカタチで伝えられます。この仕掛けも、シェアをより推し進める原動力になったのでしょう。

ソーシャル時代のコンテンツ鉄板セオリー、強い「入口」広がる「出口」

001(3)

「浜のミサンガ『環』」のプロジェクトをはじめ、数々のプロジェクトを手掛ける中で、鷹觜さんはシェア主導の情報を広める鉄板セオリーを導き出しました。

それが強い「入口」と広がる「出口」の二つを作り出してあげること。強い「入口」とは、まず最初に人を惹きつける重要なコンテンツのことを指します。広がる「出口」とは、そのコンテンツをより世間にシェア・拡散させるための仕掛けです。

例えば、田んぼアートをデジタルと融合させた「Rice Code」プロジェクトがそのセオリーで成功した大きな一例です。

「Rice−Code」とは、お米どころとして有名だった青森の田舎館村において、地域を活性化して、お米の売上を伸ばすために仕掛けられたプロジェクト。

村活性化のソリューションとして、様々な色の稲で田んぼアートを描き、そしてそれをQRコードで読み取ることで、お米が変える仕組み”rice-code”を開発。成果として村の約30倍もの観光客の誘致に成功したのです。

rice code

(photo by 「rice-code」)

このプロジェクトの成功の背景にあるものが、強い「入口」広がる「出口」という鉄板セオリー。最初に田んぼアートという強い「入口」に対して、それを写真にとってシェアや購買につながる”Rice-code”という広がる「出口」を作りだすことで、大きな反響へとつながるという仕組みです。

田んぼアートを写真に撮っている観光客の興奮時に、その興奮を購買へとつなげる素晴らしい好例と言えるでしょう。

今回の講演で、社会課題をクリエイティブの力で解決する「浜のミサンガ『環』」や「rice-code」のプロジェクト例は、ほんとにワクワクして聞くことができました。

おそらくそんなワクワクの伝染が、「シェア」の引き金になるものなんだろうなぁ感じます。こんな取り組みがもっともっと東北の地で起こっていってもらいたいですね。

▼東北ライター塾のレポート前回と次回の記事はこちら

トップへ戻る