狂ったパパラッチのサクセス・ストーリー「ナイトクローラー」勤勉な狂気はこれほどまでに最悪か【映画Review】

ナイトクローラー画像1

photo by cinematoday

「人の破滅する瞬間に僕は顔を出す」

狂気の映画「ナイトクローラー」観てきましたよ!アカデミー脚本賞もノミネートされて、Filmarksでもけっこう高いレビューだったので「これは観に行かなければ!」とフォーラム仙台行ってまいりました。

期待通り、映像も脚本も一級品でしたよ!

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狂った“報道パパラッチ”を描くサクセス・ストーリー

物語の舞台は、眠らない街「ロサンゼルス」。そこで日々こそ泥を繰り返し、すさんだ生活を送っていたルイス(ジェイク・ギレンホール)はたまたま交通事故現場に居合わせる。現場には、事故を起こした車から運転手を助けようとする警察官2人。そして、それを事故報道としてテレビに映像を売り込む報道パパラッチと出会う。

ルイスはその報道パパラッチのやっていたことをを見よう見まねで事件現場を訪れ、その様子をカメラに納め、見事テレビ局に売り込むことに成功する。その後、より過激な映像スクープをほしがったテレビディレクターのニーナ(レネ・ルッソ)のアドバイスをもらい、ルイスはさらなる過激な映像を求め、夜のロサンゼルスを徘徊する。過激な映像スクープを撮るためなら手段を選ばなないルイスは、いつしか一線を超える行動に出る…

勤勉で真面目。でも狂っているルイス

本作の最も一番の魅力であり、今までにない独特のキャラクターとして光っていたのがジェイク・ギレンホール演じるルイスです。

Filmarksで色々なレビューの中でも書いてありましたが、なんとまあ狂った人物です。事件や事故の報道スクープを撮るためなら、法やモラルなんて関係なし。目の前に血を流している人に近距離からカメラを回す。同業者が事故って血を流していようが、「うわっ!これ流したらウケそう!」なんて考えを持つ冷血野郎。

ナイトクローラー画像3▲平気で怪我人に近づくルイス photo by cinematoday

でも、こんな彼ですが、正直すごい「勤勉」な人物なところがこの物語をサクセス・ストーリーへと変えていきます。冒頭に自分で「僕は勤勉で志が高い人間だ」と語るシーンがあるのですが、その後のシーンでは素晴らしい言行一致。テレビディレクターのニーナに「過激な映像を撮ってきて」と言われたら、即行動。仕事のためなら良いカメラも買うし、良い車だって投資する。ネットでビジネスノウハウを勉強しまくり、営業マン顔負けの交渉力を発揮します。

ルイスというキャラクターが、この映画でとても強烈なインパクトを与えている理由が、狂気と勤勉さという普通では両立しないだろう性格が見事に溶け込んでいるところからなのでしょう。

ブラック時代の成功マニュアル

そんなルイスの特質について、超映画批評のナイトクローラー評にはこう書かれています。

私にいわせればこの映画の裏の顔は、「ブラック時代の成功マニュアル」である。

ルイスは金もコネもないが、長年のすさんだ暮らしで良心や倫理感すらもなくしてしまった。だがそれこそがナイトクローラー、すなわち事件事故現場専門のフリーカメラマンを起業するにあたって、最強武器になるのである。これを皮肉といわずになにをいうか。(「超映画批評」より)

ブラック時代の成功マニュアル」というのは、言い得て妙な表現ですね。

確かに、道徳や倫理、モラルを守ってるだけじゃ損をする今のブラック時代において、成功するために必要なのは、ナイトクローラーのルイスのような性格でしょう。目的のためなら手段を選ばない姿勢こそが今の世の中で成功する秘訣なんだ、この映画は突きつけてきます。

本作は、現代の弱肉強食の厳しい世界に生きるビジネスマンの処世術として見るべき映画なのかもしれません。

ナイトクローラー画像5▲どんどん報道パパラッチとして登りつめていくルイス photo by cinematoday

テレビは視聴者が作っている

本作の中で過激な報道スクープを撮り続け、主人公ルイスはいつしか一線を越えた行動を取ってしまいます。それは明らかに犯罪行為。観ているほうからすれば、「今まではまあ多少は大目に見てきたけど、それはやっちゃいけないよ!ルイスくん!」てな感じ。

しかし、彼の行動の目的は「視聴率を取れるようなウケる過激な報道映像を撮る」というただ一点のみ。その目的を阻むものは、法でさえも関係なし。

このルイスの行動は倫理的にも、法律的にもアカンのだけれど、でもそのルイスの行動が、明らかに普段ぼくたちが接する「報道」とそれに期待する「視聴者」にも責任があるんだ、と皮肉めいた印象を与えます。

ナイトクローラー画像4▲撮影はどんどん過激になっていく photo by cinematoday

日本でもテレビの報道が「作為的である」と批判を受ける場合があります。それは嘘じゃないか!過激表現じゃないか!、と。でも、報道が作為的になってしまう、過激になってしまうのは、全部「それを望んでいる私たち視聴者」なんですよね。

本作の場合で考えれば、視聴者が過激な映像を望んだから、テレビディレクターであるニーナはより過激な映像を欲しがった。欲しがったから、その映像を売り込むルイスが過激な事件を撮ろうと努力する。このいびつな構造は、おそらく現実世界で本当に起こっていることでしょう。

このいびつな構造を見事に描き切ったところがほんとにすばらしいです。

まとめると「ナイトクローラー」期待通り、かなり傑作な作品でした!脚本賞ノミネートという触れ込みも納得の物語です!これは是非映画館で見ていってほしいですね。

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