映画としてのアニメ作りにこだわり抜いた『傷物語 鉄血篇Ⅰ』めっちゃ待ちわびたぞ!【映画Review】

圧巻の映像センテンス!失礼、噛みました。圧巻の映像センスの三部作第一弾『傷物語 鉄血篇Ⅰ』!

待ってました!ついに、ついに公開しました『傷物語 鉄血篇Ⅰ』。

アニメ界では超大人気シリーズの<物語>シリーズが劇場版へ。ということで、早速、観てきましたよ。

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▲御用達のMovix仙台にあった「傷物語」のパネル

ほんとティザーサイトが公開されてから、「マジでいつ劇場公開するんですか?」って思ってた人も多いはずの本作。でもエヴェンゲリオンを筆頭に「延期しまくって期待感を煽る」作戦はアニメ業界ではもうお決まりパターンみたくなっている気がするので、まあ仕方ない仕方ない、と自分を騙しながら鑑賞じゃ。

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そもそも物語シリーズって?

さて、レビューをする前に「<物語>シリーズって何?」という疑問を持っている方もいると思いますので、簡単にご紹介。

<物語>シリーズは、西尾維新原作の小説をアニメ化したもので、2009年から放映されてきた主人公阿良々木暦(あららぎこよみ)とそれを取り巻く『化物語』『傷物語』『偽物語』『猫物語』、最近で言えば『終物語』などの一連のアニメシリーズのことを言います。

「◯◯物語」と言う感じでたくさん出ていますが、すべて主人公阿良々木暦と彼に出会った少女たち、そして「怪異(世の中の超常現象的や妖怪的なもの)」にまつわる物語です。タイトルが毎回違うのでややこしいんですが、基本的には物語ごとに関連性を帯びており、すべて時系列としてつながっています

特徴としては、無駄な描写を一切廃し、一般のアニメとは違い、独特の映像表現と、アニメとは思えない機知に富んだ一人語りや会話がなされるところでしょう。たまに全く展開が進まず、30分のほとんどが、ただただキャラクターの「会話のみ」という回まであります(でも、凄いことにこれが面白いんだよ)。

まあ、映像表現を文字で表現するのは難しいので、見たことがない人はとにかく観てほしい!オススメです!

傷物語のあらすじ

そんな<物語>シリーズの劇場版が、今回の『傷物語 鉄血篇Ⅰ』。「 Ⅰ 」という文字があるのでわかると思いますが、三部作構成の1つ目に位置しているお話です。

<物語>シリーズはさきほど時系列としてつながっていると書きましたが、その時系列の中の「はじまりの物語」が「傷物語」になります。言うなれば、「ダース・ベーダーがなぜ暗黒面に堕ちてしまったのか?」を描いたスター・ウォーズシリーズの新三部作的な位置づけで、一番最初に放映された『化物語』の前日譚、<物語>シリーズのエピソード0です。

私立直江津高校に通う阿良々木暦は高校2年生から3年生に変わる春休みの初め、同級生である羽川翼のパンチラを目撃したことがきっかけで彼女の友達になる。その日の夜、暦は両手両足を失い瀕死の状態にある女吸血鬼、キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードに遭遇する。

暦は自らの命と引き換えにキスショットに血を吸わせることで、死に往く運命にあった彼女を助けようとするが、暦は吸血鬼として蘇る。キスショットの眷属として彼女の四肢を奪った3人の吸血鬼ハンターから両手両足を集め、その見返りとして吸血鬼から人間に戻してもらうことを約束した暦は、怪異のオーソリティである忍野メメ、そして翼の助力を得て3人のハンターに立ち向かう。(Wikipedia「傷物語」より)

テレビアニメとしての『傷物語』ではなく、映画としての『傷物語』を追究

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(C)西尾維新/講談社・アニプレックス・シャフト

ぼくが思うに<物語>シリーズの最大の特徴は『アニメとは思えない機知に富んだ一人語りや会話』です。

印象的なモノローグ(一人語り)から始まり、そこからキャラクター同士のダイアログ(会話)、物語の最後にはもう一度モノローグをして終わるという構成の中で、必ずモノの見方が変わるような鋭い「言葉」が散りばめられている。

しかし、実はこの『傷物語』では、そんな<物語>シリーズの大きな特徴の1つである「モノローグ(一人語り)」が一切ありません!ぼくとしては、冒頭にある、阿良々木暦の耳に心地よいリズムで語る一人語りが好きだったので「何でだ!」っと思っていました。

でも、実はこれについては制作側の意図があったんですね。『傷物語』の主人公の声優さんである神谷浩史のインタビューでその謎が解けました。

—— 初の劇場作品となる『傷物語』ですが、テレビシリーズとの違いはありましたか?

神谷 一番特徴的なのは、ナレーションやモノローグが極力排除されているという点ですね。そもそも、〈物語〉シリーズは、基本的に阿良々木暦を通じて描かれる物語なので、テレビシリーズでも彼の視点、彼の言葉で物語を紡いでいくという原作のスタイルを踏襲しています。今どういう状況なのかを語る、暦少年のナレーション、それに対してどう思っているのかのモノローグ、それに対しての他のキャラクターとのダイアローグという3つの要素で構成されています。

—— テレビシリーズでは、動きの少ない一枚絵と膨大に繰り出される暦少年のモノローグの対比がとても印象的でした。

神谷 それはテレビという媒体の特性に合った形なんだと思います。テレビでやるのであれば、あれ以上の形はなかなか思いつきませんが、劇場となるとまた違った特性があるので、それに合わせて作り方も変えないといけない。今作ではテレビシリーズの手法とはあえて変えて、劇場作としてのクオリティをすごく意識して作られていると思います。

『傷物語』インタビュー 神谷浩史『映画でしか描けない“物語”がある』より

なるほど、劇場でアニメを流すということを突き詰めた「映画としての表現」なんですね!

確かに、劇場作としての『傷物語 鉄血篇Ⅰ』は、圧巻の映像クオリティ&ハイセンスな映像表現だったのは間違いありませんでした。

例えば、予告編でもちらっと映る大木。映画のオープニングからものものしい雰囲気で、カメラが下から大木を映しだします。そこで、そこから大量のカラスが飛び立つというシーンがあるのですが、映画館で観るとこれからはじまる「物語」の不気味な異様さを肌で感じることができ、圧倒されるオープニングになってるんです。

全く観たことがない人たちへ

「映像クオリティ」の話をしたので、次は「ストーリー」としてどうなのか?ということなんですが、正直言うと三部作の最初ということでほとんど物語が展開せず、少し肩透かしを食らってしまった感があります。

実は、『傷物語 鉄血篇Ⅰ』は上映時間がたった64分しかないので、「ええ!もう終わるのかよ!」という思わず突っ込んでしまうくらい短い印象を受けるんです。

『傷物語』という三部作自体は「<物語>シリーズを観ていなくても大丈夫だよ」ということをちらほら聞きます。でも正直、『鉄血篇Ⅰ』は超中途半端で終わってしまい、はじめて<物語>シリーズを観たという人に対して「アニメ版も観てみたい!」と思わせてくれるレベルまでストーリーとしての見せ場が少なすぎます

なので、映画版の傷物語と、アニメ版の<物語>シリーズのどちらから観ることをオススメするかと聞かれたら、やっぱりアニメ版から観た方が良い気がしますね

それに、アニメ版を観ているからこそ、映画上のヒロインである「羽川翼キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」とか、「怪異」の専門家の「忍野メメ走ってキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」みたいな興奮を味わえるもんなので。とりあえず<物語>シリーズの一番最初の『化物語』だけ観てから、『傷物語』を観るのが良いんじゃないかな〜、と思います。

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(C)西尾維新/講談社・アニプレックス・シャフト

傷物語はまだまだ三部作の最初に過ぎない

三部作の最初だったので、ちょっと消化不良ぎみだった『傷物語 鉄血篇Ⅰ』ですが、まあまだまだ三部作の最初にすぎないので、これからに期待です。

ちなみに<物語>シリーズの最新情報と、週一でアニメが更新される『暦物語』というアプリがあるのでオススメですよ!

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