接骨院行ったら腰どころじゃなかった話

先日、腰痛になってしまいました。

まあよく言われる「ギックリ腰」ってやつです。最近ずっと椅子に座りっぱなしだったし、日頃運動してないのに調子のってランニング始めたりしたのがいけなかったのかもしれません。

風呂あがり。パンツをはこうと前かがみになった瞬間です。

グギッ!!!!

((((;゚Д゚)))))))
あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ。

うを〜〜〜〜っ!!

ヤバい。

これはヤバイ。
ヤバイよやばいよ!

ギックリ腰って、なったことのある人はわかると思うんですが、かなりしんどいんです。こうなると、まだ2歳くらいの幼児のほうがしっかり歩けるんじゃないかってくらい歩くのも辛い。

食卓につくことすらままならず、靴下を履くにしても「もう自分に明日は来ないんじゃないか」ってくらいの痛みが腰に走る。腰痛がすべての世界を残酷なものに変えてしまった。「世界は残酷だ」って言っていたミカサ・アッカーマンはおそらくこのことを言ってたんだなあと痛感します。

とは言え、こっちも何もせず白旗をあげるわけにもいきません。「この腰痛を駆逐してやるっ!!!」という思いがふつふつ湧いてきました。

まあ、でも腰痛なんてなってしまったらサロンシップを貼って、ぼくのぶち壊されたウォール・マリアが崩れないようにすることくらいしかできない。やっぱり誰かの力を借りないと、こいつの治療なんかできやしないです。

そこでですね。近くの接骨院に行くことにしました。ただ、「行く」ってなってもこれがこれでしんどい。自転車乗って10分くらいこぐだけなのに、まじでしんどい。

やっとの思いで着いた接骨院。外観はけっこう綺麗な感じで、料金的にどんくらいかわからなかったけれど、まあ悪くないような印象。受付の人に、おじいちゃんのような歩き方をする僕をまじまじと見られる羞恥プレーにめげず、なんとか健康保険証を受付の人にわたす。「少しお待ちくださ〜い」なんて言われながら10分くらい待たされました。

この10分間も必死にぼくのウォール・マリアが決壊しないかどきどきだったんですが、とにかく「もう少しの辛抱。もうちょっとでぼくのウォール・マリアを修復してくれる」そう自分に言い聞かせ、なんとか倒壊を防いでいました。

「お待たせしました〜」

10分後、ようやくぼくの名前が呼ばれました。

「(よしっ!これで世界が救われる)」

そう安堵し、声をかけられたほうに顔を向ける。

「(おおっ!)」

((((;゚Д゚)))))))

驚いたことに、そこにはまるで女神かのように可愛い柔道整復師(接骨院で施術してくれる人)さんが立っていました

「(おいおい!マリア様がここにいるぞ!)」

ぼくはこの一瞬で浮かれてしまいました。
おそらくこのマリア様が、ぼくの凝り固まったウォール・マリアを修復してくれる人だろう、と。どんなワザを使って修復してくれるのだろうか。ぼくは気がきでなりませんでした。

「今日はどうしました〜?」

「いや〜腰をやってしまって、ギックリ腰ってやつっすかねw」

「なるほど〜腰のどこらへんですか?」

「そうですね。強いて言うなら、ここらへんですかね」

さわっ。

「(マリアが、ウォール・マリアに触れながら)ここらへんですか?」

「はっ、はいそこらへんっすね」

ぼくはここらへんから腰どころじゃありませんでした。目の前に現れたマリア様に夢中だったからです。「腰痛は世界を残酷にも、希望にも変えてくれる」。23にもなって、また新たな発見をぼくはしてしまいました。

「ちょっと固くなってるので、今日はほぐしていきましょう!♡」

もはや、このまま文字だけでこれを伝えようとすると、ただの2ちゃんねるの風◯レポートのようになってしまいそうですが、一応ここは接骨院ですので注意してください。

「まずは電気からかけてみますねー」

いかん。いかん。オレはマリアに会いに来たんじゃない。ウォール・マリアの修復をしに来たんじゃないか。ぼくは気を取りなおして、電気をかけてもらいました。電気治療ってどんなものかわからない人もいると思うので説明すると、いかにも電気流しますって感じの装置から伸びる吸盤みたいなものを腰に2つくっつけ、一方の吸盤から、もう一方の吸盤へ筋肉を介して流すような治療です。

ギックリ腰と、マリア様で2回ほどすでに電気が流れていたぼくには「またか」という印象しかありませんでしたが、まあ「マリアが言うんだから」と受け入れることにしました。

実際の電気はというと、ぼくのウォール・マリアを少しずつ和らげてくれる実感があり、なかなかどうして、「接骨院来てよかった〜」と胸をなでおろすぼく。

15分くらい電気を流し続け、ずっとうつぶせになっていたので少しウトウトし始めていると。

「電気終わりますね〜」とマリアが後ろから声をかけてくる。

「あっ、終わりっすね」

「じゃあ次、実際にマッサージしていくので、こちらに移動してくださ〜い」

言われるがまま、マッサージ台にぼくはうつ伏せになった。もうマリアのマッサージが楽しみで仕方ない。昼間から、こんなサービスあっていいのだろうか。

「それでは初めていきますね〜♡」

マリアの指がぼくの腰のほうに近づく。

ギュッ!!

((((;゚Д゚)))))))

「おっ、おお〜〜〜」

本日4度目の電気が走った。

ふつうにマジで痛い。
マッサージってもっと優しくしてくれるんじゃなかったの?

オレのウォール・マリアはそんなにひどいのだろうか。か弱いマリアの指に悲鳴をあげる。

「あっ!痛かったら言ってください」

「すいません。も、もっと優しくしてください(´ω`)」

そう懇願すると、指圧がすこし弱くなった。これならいけそうだな。ホットしたぼくはしばらくマリアのマッサージを堪能していた。マリアと言ってもやはりプロだ。凝り固まっていた筋肉が和らいでくる。そう感じているとマリアが話かけてきた。

「いやー凝ってますね。お兄さん学生さんですか?」

「あっそうです。今大学4年生っす」

「そうなんですか。じゃあ何歳?」

「今年24っす(※ぼくはストレートで大学行ってない)」

「24ですか? 私、23歳なんですよ。一個下ですね!」

一個下!! やっぱりマリア。若いなーっと思ってたら、やはり。

「なんかスポーツとかやってたんですか〜?」

「野球を高校までやってましたね」

「ほんとですか!?私、野球好きなんですよー」

いつの間にか合コンで聞こえてきても変わりないくらいの会話をマリアと繰り広げていたぼくは、これは「明日も来よう!」と自分の心に固く誓っていた。
だかその時、ぼくはあることに気づいた

今ぼくは、マッサージ台にうつ伏せのまま腰あたりを指圧されている。マリアのポジションはぼくの横に立っている状態だ。

そこからマッサージをしているのだから、グイグイ腰を押されるとぼくの体は左右に振られてしまう。

するとぼくの体前面ある、ある部分がけっこう刺激されているのだ。

「私、野球観戦が好きで」

「はっはいっ(アレっ…( ゚д゚ ))

「高校野球とかもけっこう観に行ったりするんですよ」

「はー(あれあれっ…( ゚д゚ ))))

「そういえば、最近あそこの高校が…」

「(オレのエレン・イェーガーが巨人化しようとしている!((;゚Д゚)))!)」

ぼくは焦った。

別に変な妄想をしていたわけじゃない。ぼくは純粋にウォール・マリアを修復しに来ただけなのだ。だから、誤解を恐れずに言うが、変な気持ちを抱いてわけじゃない

とは言え、ぼくのエレンは正直だ。

戦え!! そのためなら命なんか 惜しくない
どれだけ世界が恐ろしくても 関係無い
どれだけ世界が残酷でも 関係無い
戦え!! 戦え!! 戦え!!

そう叫んでる。

これじゃガチで腰どころじゃない!
ぼくも必死の抵抗を試みる。無理やりマリアとの会話の内容に集中しようと試みる。どうにかぼくのエレンを鎮めなければならない。だが、男ならわかると思うが、この状態のエレンを鎮めるのは至難の業だ。こうしてるうちもぼくのエレンは、必死にイェーガーしてきている。

これを止められるのは、もはや敵をバッタバッタと倒すヴァイ兵長くらいしかいない。

そして、次の瞬間、ぼくは世界がどれだけ残酷かを改めて思い知ることになった。

ぼくは必死に気をそらそうと、隣の隣にあるマッサージ台に視線をそらした。そこには、接骨院の院長先生に腰あたりをマッサージされているおじいちゃんがいた。

「(よしっ!あのおじいちゃんを見ていればオレのエレンも落ち着いてくれるはずだ)」

そう確信した次の瞬間、院長先生が言った。

「じゃあ佐藤さん〜次は、あお向けになりましょう〜ね〜」

!!!!…(;´Д`)…!!!!!

やばい。やばすぎる。
今のぼくの状態は、まだうつぶせだった。

この状態なら、どんなに巨人化していようが、マリアはエレンの存在には気づくことはない。しかし、もしマリアが“あお向け”の指示を、エレンに出したら…もはやウォール・マリアどころの騒ぎじゃない。

どうしよう。どうしよう。

ぼくは必死に考えた。この場合、ぼくのできることは何か?思いつく限りのことを考えた。このときに思いついたのは以下の3つ。

  • ①自分でエレンを鎮める
  • ②マリアにエレンを鎮めてもらう
  • ③うつ伏せのまま、マッサージを終わらせてもらうことを交渉する

まず、①「自分でエレンを鎮める」可能性だが、正直自分の力でエレンを鎮めることは難しかった。だって、マリアの指圧で自然と間接的にエレンに触発してしまうため、頭でわかっていても体が言うことを聞いてくれない。

次に②「マリアにエレンを鎮めてもらう」だが、もっとダメだ。マリアだ。エレンだ。巨人化だ。とオブラートに包んでいるが、これじゃただの風◯だ。

ここで一番現実的なのは、③だろう。

しかし、腰痛でひどいひどいと言って来ているのに、マッサージを途中で終わらせてもらうためにはなんて言ったらいいのだろうか。「ぼくのエレンが…」なんて言おうと思ったが、心の中にいるもう一人のぼくが「言わせねえよ〜!!」とツッコミをいれてくる。率直に「もうマッサージいいです」っていきなり言うのもマリアに失礼だ。

どうしよう。どうしよう。

ぼくは考えあぐねていた。

その時だ。

マリア「すいません〜」

やばい。キタっ!

「あお向け」の合図だ。

終わった・・・

ぼくの23年間の人生。こう見えても真面目な人生を送ってきた。ぼくの世界をエレンがめちゃくちゃにしてしまうのか。ああー。ぼくは覚悟を決めた。巨人と相まみえる覚悟を

「ちょっと、他の人に変わってもらいますけど、いいですか?」

・・・

・・・

・・・

「(へっ!?)」

「すいません。ちょっと」

「はっはいっ別に大丈夫です」

世界は残酷なんかじゃなかった。

マリアの離れていく足音を聞きながら、うつ伏せのぼくは視線を横に向ける。やった!

そこにはいかにも気の良さそうなおっちゃんが立っていたのだ。ぼくの目にはその姿が彼の姿と重なった。

images

「待たせたな」

リッ、リヴァイ兵長!!!!!!

ぼくは命を救われた。

正確には「待たせたな」みたいな失礼な言い方はしていなかったが、マリアからリヴァイ兵長に変わった瞬間、ぼくのエレンがだんだんと鎮まっていったのだ。意識していないとは言え、やはりぼくのエレンはマリアに反応していたのだろう。ぼくは安堵のため息と、世界は残酷じゃないと知ったのだった

その後、接骨院から出たぼくは、なぜかはじめて巨人に人類が勝利したときのような開放感を味わった。

ぼくのウォール・マリアはまだまだ傷んだ状態だったけれど、別にそれはこれから直していけばいい。

治ったアカツキには、実写版の『進撃の巨人』を観に行こうとぼくは誓い、帰路についたのでした。

なんやかんやあったけど、8月1日に実写版『進撃の巨人』公開ですね。楽しみです。

進撃の巨人(17) (講談社コミックス)
諫山 創
講談社 (2015-08-07)
売り上げランキング: 4

追記:

そういえば、リヴァイ兵長到着後、うつ伏せのままその日の治療は終了になりました。ただの焦り損。

トップへ戻る