漫画とは違った魅力を放つ実写映画『バクマン。』が最高だった【映画Review】

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漫画やアニメが文化にまで発展する日本だけれど、そう言えば作り手である「漫画家」がスポットライトを浴びている物語をぼくはあまり知らない。

「漫画」の舞台の裏にいる作り手たちを描いた作品『バクマン。』は、大ヒットコミック『デスノート』を作り上げた大場つぐみ(原作)と小畑健(作画)が再びタッグを組んで描いた漫画です。まあ、さすがあのデスノートを作りあげたお二人。『バクマン。』自体も、非常に濃いストーリーとめちゃくちゃうまい画力の漫画で、たちまちジャンプでも人気漫画に。

そして、この度『バクマン。』実写映画化です。

漫画家コンビとしてダブル主役を演じるのは、この前「るろ剣」で殺しあっていた佐藤健と神木隆之介。ヒロイン役が小松菜奈。そして、『モテキ』『恋の渦』の大根仁監督。

漫画実写化ということで、あんまし期待はしていなかったのですが、観てきました!

最初に言いますが、これは映画館で観に行く作品ですよ!かなり面白いっす!

▼まずは予告動画

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「なぜ映画でその物語を表現しなければいけないのか?」に答えを出してくれた大根仁監督

いきなりですが、ぼくが日頃から考えていることとして、

漫画や小説などの原作がすでに存在している作品の実写映画化をする場合、「なぜその物語を”映画”で表現しなければいけないのか?」という問いについてちゃんと監督が考えているかどうかが、実写映画化が面白くなるかどうかの分かれ目だと思います。

実際に、この問いを曖昧にして「とりあえず原作が売れているから、実写映画化しようぜ!」という商業的な目線で実写化してしまったものって100%つまんない。これはけっこう個人的な経験ですが、実写映画化を観て残念って思った人は少なくないはず。

というか、映画で表現する意味がないのなら「映画に金払ってないで原作を読めよ」という感じでしょう。

では、この実写版『バクマン。』はその問いにきちんと答えを出しているか?

答えは「Yes」

大根監督は、映画という表現を存分に使って、『バクマン。』を本当に面白い実写映画にしてくれました。

躍動感のある映像ならではの表現

では、どんな点が映画として、映像表現として素晴らしかったか?

それは「主人公たちが漫画を描く行為の表現」です。

例えば、劇中主人公のサイコーとシュージンが、同じ高校生ライバルである染谷将太演じる新妻エイジと週刊少年ジャンプの人気アンケート投票を争う場面があります。

通常なら、アンケート投票を争う様子を「漫画をガリガリと頑張って書いている画」を映せばいいはず。でも、そんな漫画と同じようなことを大根監督はしません。サイコーとシュージンがペンを剣に見立て、新妻エイジに対して、るろ剣ばりのアクションを披露するんです。

実際、このシーンは観てみないと言葉で表しずらいのですが、漫画家のアンケート争いを、アクションでの闘いという映像で表現する様子は、熾烈な争いの様子を躍動感をもって伝えてくれ、ほんとに興奮する場面となっています。

これに加えて、サイコーとシュージンが実際に漫画を描いているシーンも工夫が凝らされているのが見事です。漫画を描くシーンって正直想像してみると、地味なシーンにならざるを得ないところがある。

しかし、2人が漫画をガリガリ描き上げている様子に、何十、何百という漫画の作画映像をプロジェクションマッピングで当てることによって、漫画を書き上げている人物の気持ちの盛り上がりというか、高揚感が表現されるんです。

これは大根仁監督、やるなーなんて思ってしまいましたね。

▼この予告編で少しだけそのシーン見ることができます

『ザッザッ』『サッサ・・・シャー』という心地よいペンの音

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そしてそして、映像にも増してこの映画の良いところはズバリ『音』です。

これはぜひ映画館でその音を聞いてきてほしいです。まじで。

何の音かといいますと、漫画を描くときのペン先が紙に触れる音。とにかく最初っから最後までこれがすごい気持ちいいんですよ。サッサッザーーーーっていう音が。

漫画家が集中して漫画を書いているとき、言葉を変えれば漫画家がハイになっているその瞬間って、実際の現場風景を想像すると、静寂の中にペンの音が部屋に響くような様子だと思うんです。そしてこの映画内では、そのペン先の音が、映画の中では過剰なくらい大きな音で表現することで、漫画家が実際に聴いているであろうペンの音を観客に伝えてくる。

これはけっこうたまらない映画体験でしたね。まるで自分が漫画家になっているかのような感覚にひたれるんですから。

悪魔も天使もいけちゃう小松菜奈

漫画『バクマン。』では、実は女性のキャラクターが多数出てきます。しかし、今回の実写版『バクマン。』では小松菜奈演じる亜豆(あずき)のみがヒロインとして出てくるだけ。

そんな紅一点効果かわかりませんが、とにかく小松菜奈が可愛すぎます。まさに天使と言っても過言じゃない。

正直、小松菜奈って天使的な役というか、本田翼みたいなThe可愛い女子高生みたいな役は合わないと思ってたんです。だって『渇き』のときはもはや小悪魔通り越して、地獄から生まれた悪魔みたいな役やっていたじゃないですか。

04_px240▲『渇き』の小松菜奈

それが、天使的な亜豆を演じるなんて止めたほうがいいって思ってたんですけど・・・

・・・

・・・

ぼくが間違ってました。

まさに亜豆(あずき)です。天使のような亜豆がそこにいました。

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おそらく大根仁監督の撮影演出もあると思います。

小松菜奈演じる亜豆美保が登場するシーンには、必ずと言っていいほど周りに淡い光が差し込み、フワ〜っとした風が吹き込むんです。

その演出がもう観ている人からしたら「あれっ何でここに天使が立っているのかな?あれっ?」みたいな感覚を抱かせてくれる。

まるで亜豆に恋しているサイコーが観ているような景色を観客がのぞくことができる。

これは大根仁監督の演出と小松菜奈の勝利ですね。

エンドロールは絶対立っちゃダメなやつです

最後に、ここはネタバレしないでおきますが、これから「バクマン。」を観に行く人は絶対エンドロールで席を立たないでください。

ぼくの観てきたエンドロール史上一番良いエンドロールです。おそらくこれはみんな感じることです。特にジャンプファンであのエンドロール見て満足できない人は頭オカシイです。

最近、『進撃の巨人』や『暗殺教室』などほんとに映画の実写化が増えてきました。でも、個人的には、あんまりそれで「面白かった!」「満足した!」っていう映画ってあんまりなく、漫画呼んだほうが100倍良いわって感じのものばかりなんですよね。

それを考えると、この実写版『バクマン。』はかなり傑作に近い形の漫画実写化なんじゃないかと思うんです。なので、ぜひ映画館でこの映画を観てもらいたいですね。

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